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長崎県山川河内地区 “災害伝承「念仏講まんじゅう」調査報告書”を公開しました。


 長崎県を広く襲い299名もの死者・行方不明者を出した長崎豪雨災害(1982年7月)。犠牲者の約90%が土砂災害によるものでした。
長崎市の東に位置し、南に橘湾天草灘を望む緑豊かな太田尾町山川河内(さんぜんごうち)地区はあります。隣接する芒塚(すすきづか)地区では土石流等により17名もの犠牲者が生じましたが、本地区においても同様に土石流が発生し家屋等に被害を生じたものの自主避難等により一人の負傷者も出ませんでした。
この山川河内地区では、江戸時代末期の万延元年(1860年)に土砂災害が発生し、33名もの犠牲者が出た過去があります。以来、この地区では、この災害で亡くなられた方々等の供養と災害を忘れないために毎月14日にまんじゅう等を持ち回りで全戸に配る「念仏講まんじゅう」が行われるようになりました。
長崎豪雨災害を経験した住民の方々等に話を聞くと『江戸時代に土砂災害があったという話は「念仏講まんじゅう」等を通して知っていた』『犠牲者が出なかったのは観音様のご加護』等と言います。長崎豪雨災害後には砂防堰堤等が整備されましたが、この「念仏講まんじゅう」は今なお続けられ、本地区には『砂防堰堤の水通しから水が出てきたら逃げる』等の警戒・避難に関する意識が根付いています。
万延元年に発生した土砂災害の経験を契機に、明治・大正・昭和の戦前・戦後の激動の時代も含め、砂防堰堤等が整備された今もなお約150年もの間続けられているこの「念仏講まんじゅう」は、住民が土砂災害を自身のリスクとして理解し、地域の“絆”を育みそれを引き継いでいる事例のひとつと言えるのではないでしょうか。


 制作:砂防広報センター 災害伝承「念仏講まんじゅう」
-150 年毎月続く長崎市山川河内地区の営み-
長崎大学大学院 高橋和雄
NPO法人 砂防広報センター 緒續英章
(日本災害情報学会 第14 回学会大会投稿原稿)
災害伝承「念仏講まんじゅう」
-150 年毎月続く長崎市山川河内地区の営み-
長崎大学大学院 高橋和雄
NPO法人 砂防広報センター 緒續英章
災害伝承「念仏講まんじゅう」調査報告
-150 年毎月続く長崎市山川河内地区の営み-
長崎大学大学院 高橋和雄
NPO法人 砂防広報センター 緒續英章

 山川河内は、普段は人の訪れることの少ない山間地域の静かな集落です。
 報道関係の方々の取材や団体様の現地訪問、念仏講見学など、地域のご負担にならぬよう、
 山川河内自治会様と種々調整等させていただいております。
 上記の場合など、下記へご連絡をいただきますようお願い申し上げます。

 ○長崎大学 名誉教授 高橋和雄
 t-kazuo@nagasaki-u.ac.jp


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